解析学特論
( 2単位)
Topics in Analysis
担当教官
配当年次
開講学期
非常勤講師 若山 正人
4
前期
授業のテーマと目標
夜空の星のように素数もまた無限にあることは, 遥か遠く 2500 年程前, ギリシアの 人たちによって発見された事実である. ところで無限と言ったとき, それはいったい どのくらいあるのだろうか. x より小さい素数の個数はいくつ? 人類は未だ, その究極の数え上げに成功していない. しかしこの問に答えようと, およそ 250 年以上も昔から, 現在リーマンゼータと呼ばれ親しまれている関数 \zeta(s) が深く研究されてきた. この講義では, リーマンのゼータ関数 \zeta(s) の負の整数点での値による (もしかしたら宇宙の神秘を解き明かす鍵になるかも知れないと期待されている) 真空中に置いた2枚の平行金属板の間に働く引力の記述という, いまからちょうど 55 年前になされた H. Casimir の発見を紹介する. そのために, \zeta(s) の q -類似を定義し, 講義の前半はそれを通してのゼータ関数入門にあてる. さらに, 究極の素数の数え上げにつながることから重要視されているゼータ正規化積・関数の 行列式表示について, 具体例を中心に解説する.
授業の内容と計画(予定)
1. 発散級数の値;オイラーの計算から [1日目前半]
2. リーマンのゼータ関数とその q -類似 [1日目後半--3日目前半]
3. カシミール効果(真空エネルギー)とゼータ関数の負の整数点での値 [3日目後半--4日目]
4. テータ・楕円関数, セルバーグ積分などの一般ゼータ正規化積・行列式表示 [5日目]
成績評価方法
出席と講義中に出題する問いに対する解答(レポート提出)で行う.
参考書
1. The Theory of the Riemann Zeta-function, E.C.Titchmarsh, Oxford 1951.
2. 絶対カシミール元, 黒川信重・若山正人, 岩波書店, 2002.
そのほか関連する論文等の文献は, 講義中に適宜紹介する.
学生へのメッセージ
受講前に, ガンマ関数 \Gamma(s) の定義(積分表示と無限積表示)について少し 復習をしておいてください.
その他
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