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佐々木 伸 氏 (熊本学園大学)
ブラックホールによる粒子の散乱角と等モノドロミー変形及び Painlevé VI型方程式

17:00--18:30 25 October (Fri), 2024, Room B301

Abstract:


一般相対性理論において,古典的なテスト粒子の軌道は与えられた時空(擬リーマン多様体)の測地線として記述される。 特にブラックホール等を表す時空における,無限遠から入射した無質量粒子の散乱角は,光や重力波の重力レンズ効果を始めとして物理的に重要である。 本講演では,最初に最も簡単なブラックホールのモデルであるSchwarzschild時空における無質量粒子の散乱角が,粒子の軌道の衝突係数を独立変数として,非斉次項を伴うGaussの超幾何方程式を満たすことを示す。 続いてSchwarzschild時空の一般化の1つである,荷電球対称ブラックホールを表すReissner-Nordström時空における無質量粒子の散乱角が,粒子の衝突係数と時空の電荷に対応する二変数について非斉次の線形偏微分方程式系を満たすことを示す。また,その偏微分方程式系は,Schwarzschild時空における散乱角が満たす超幾何方程式の等モノドロミー変形であることを議論する。特にその可積分条件が,Painlevé VI型方程式の代数関数解を与えることを示す。最後に,ここまでの議論をより一般の時空や質量を持つ粒子の散乱角の計算へと拡張することについて述べる。