辞書は閉じているか?
閉じている・開いているの意味はよく知っていると思う。
数学などで使う場合、普通の意味とは別に、次のような意味で使う。
何かの集合内である操作を行ったとき、
操作で出来た産物もその集合内に入っている。
意味がわかりづらいかもしれないが、
次のように使う。下の例は意味がわからなかったら
飛ばして読んでもいい。
- 自然数全体(1,2,3,4,...)は足し算(をするという操作)について閉じている
(自然数同士を足したら必ず自然数になる)けれども、
割り算について閉じていない。
(たとえば2割る1は自然数ではない)
- 有理数全体(整数分の整数と表される数)は
足し算・引き算・掛け算。割り算
について閉じているけれども、
有理数が係数の代数方程式(多項式=0)の解をとるという操作について閉じていない。
(方程式 x^2-2=0 を考えると解は有理数ではない)
また以下を読めば、ここで言う閉じているの意味がなんとなくわかると思う。
さて、表題の辞書は閉じているかを考えてみる。
これはつまり、次のような意味である。
まず、Aという言葉を辞書で引いたとする。そして「Bのこと」
となっていたとする。
このときまたBを引く。そうすると「Cのこと」
となっていたとしよう。いか同様に
「Dのこと」「Eのこと」・・・と続けていくと、辞書に載っている単語の
個数は有限なので、いつかかならず次のどちらかが起こる。
- ・・・→「Zのこと」→Zは辞書に載っていない。
- ・・・→「Zのこと」→「A(もしくは今までに出たどれか)のこと」・・・
と循環する。
上のことが起こる辞書は閉じていないといい、
すべての単語について下のようなことになる辞書を閉じていると言おう。
さらに、何回目で同じ単語に戻ってくるかの回数をその単語の周期と呼ぼう。
もちろん辞書としては閉じているのが理想であるし、周期は長いほうが
いいのであろう。
ここでは辞書が閉じているかどうか、また、閉じているなら周期を
調べようというのである。実際には、Aを引くと
「BがCであること」のように
説明している単語は2種類以上になるので
調べるのは結構大変である。
以下は何冊か調べた結果である。
-
いまのところ(2004年5月)閉じていない辞書は見つけていない。
-
確か新明解国語辞典だと思ったけど、
周期が2のものを発見した。
それは、斧を引くと、小さいまさかりのこととなっており、
まさかりを引くと、大きい斧のこととなっていたというもの。
両方知らなかったら意味が一生わからない。
-
周期が1の単語、すなわち、AとはAのことである。
(トートロジーという)
という項目がある辞書はいまのところ見つけていない。
そんな辞書あったらいやだけど。
自分も調べてみたなどあったら教えてください。
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