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8.9 多項式環上の加群

多項式環上の自由加群の元は, 加群単項式 te_i の線型和として内部表現される. ここで t は多項式環の単項式, e_i は自由加群の標準基底である. 加群単項式は, 多項式環の単項式 に位置 i を追加した <<a,b,...,c:i>> で表す. 加群多項式, すなわち加群単項式の線型和は, 設定されている加群項順序にしたがって降順に整列される. 加群項順序には以下の3種類がある.

TOP 順序

これは, te_i > se_j となるのは t>s または (t=s かつ i<j) となるような項順序である. ここで, t, s の比較は多項式環に設定されている順序で行う. この型の順序は, dp_ord([0,Ord]) に より設定する. ここで, Ord は多項式環の順序型である.

POT 順序

これは, te_i > se_j となるのは i<j または (i=j かつ t>s) となるような項順序である. ここで, t, s の比較は多項式環に設定されている順序で行う. この型の順序は, dp_ord([1,Ord]) に より設定する. ここで, Ord は多項式環の順序型である.

Schreyer 型順序

各標準基底 e_i に対し, 別の自由加群の加群単項式 T_i が与えられていて, te_i > se_j となるのは tT_i > sT_j または (tT_i=sT_j かつ i<j) となるような項順序である. ここで tT_i, sT_j の 比較は, これらが所属する自由加群に設定されている順序で行う. この型の順序は, 通常再帰的に設定される. すなわち, T_i が所属する自由加群の順序も Schreyer 型 であるか, またはボトムとなる TOP, POT などの項順序となる. この型の順序は dpm_set_schreyer([H_1,H_2,...]) により指定する. ここで, H_i=[T_1,T_2,...] は加群単項式のリストで, [H_2,...] で定義される Schreyer 型項順序を tT_i らに適用するという意味である.

加群多項式を入力する方法としては, <<a,b,...:i>> なる形式で直接入力する他に, 多項式リストを作り, dpm_ltod() により変換する方法もある.


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