
数学は、古くて新しい学問です。研究する対象は主に「数と空間」です。ここで、数や空間といっても皆さんのご存知の自然数「1,2,3,...」や「3次元空間」だけでなく、現代では様々な形で拡張された「数」や「空間」が数学の研究の対象となっています。
例えば「素数は無限個ある事」はご存知と思いますが、「素数がどのようにならんでいるか」は驚く無かれ現在でもあまり良くは分かっていません。しかし、「素数全体の空間」を考えると色々な事が明確になってくる事が示されています。また「実際の宇宙空間は10次元である」と予想する科学者もいますし、「実際の経済の様々データからなる空間を考え、その空間を数学的に解析する」事も現在では現実に頻繁に行われています。
この様に、「数や空間」は様々な形で存在し、そしてその間に存在する「不思議な原理」や「不思議な類似」が我々数学研究者を「数学の研究」に駆り立てます。
神戸大学理学部数学科では、「数学は本質的に一つである」といった方針を取っています。これは、「代数学、幾何学、解析学」といった分野の専門性は大事にしつつ、それぞれの専門にとらわれない自由な討論、自由な発想の基で「本質的に新しい発見」を世に送り出したいと考えているからです。
さらに「数学は自然科学の言葉」であると言われますが、それ以上に、もっと本質的な意味で「物理学」、「生物学」、「天文学」、「化学」、そして「計算機科学」、「工学」や「社会科学」とも深い関係をもって発展してきました。我々はこの伝統にも目を向けたいと思っています。ですから、時には「現在の数学科」の枠からもはみ出した他分野との共同研究も視野にいれていきたいと思っています。
神戸大学理学部数学科では、数学が得意な学生ばかりでなく、数学があまり得意ではないが「数や空間の研究」に興味を持っている意欲のある学生を大いに歓迎します。また、現在の数学の主な研究分野をカバーするだけでなく、スタッフの中に「物理学」、「計算幾何学」等の優秀な専門家もいますので、これらの分野に興味を持っている学生の方で数学も同時に学びたいという方も歓迎いたします。
神戸大学理学部数学科は、意欲のある皆さんをお待ちしております。
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