情報分子構造論 ( 2単位)
Biosignaling Molecules
担当教員 配当年次 開講学期
教授  吉川 潮 3 後期

授業のテーマと目標

高等生物における細胞内情報伝達には蛋白質リン酸化反応が重要な役割を果たしており, その異常は様々な病態と関連している.本講義では蛋白質リン酸化反応による生命機能の 維持統御,疾患と細胞内情報伝達の関わりについて解説する.本講義の目標は,蛋白質リ ン酸化反応を介する細胞内情報伝達機構の概略の理解を通じて生命現象の分子機構の理解 を深める.
授業の内容と計画(予定)

高等生物の体内では生理活性物質による個々の細胞の機能制御が行われており,生理活性
物質の情報伝達にはプロテインキナーゼ(蛋白質リン酸化酵素)による蛋白質リン酸化反
応が重要な役割を果たしている.また,蛋白質リン酸化反応は種々の外界環境からの入力の
センシングと細胞応答にも不可欠な機能を果たしており,その異常は様々な病態と関連し
ている.本講義では蛋白質リン酸化反応が発ガンの過程に関わることが見いだされた過程を
振り返り,次いでホルモンの機構の研究の経緯のなかでプロテインキナーゼが発見された
細胞内情報伝達機構の研究の歴史を概説し,蛋白質リン酸化反応による生命機能の維持統
御について解説する.
  1.イントロダクション
  2.ウイルス性発ガンとチロシンリン酸化反応
  3.チロシンリン酸化と細胞内情報伝達機構
  4.化学発ガンと蛋白質リン酸化反応
  5.インスリンの発見
  6.蛋白質リン酸化酵素とサイクリックAMPの発見
  7.リン酸化カスケード
  8.カルシウムと細胞内情報伝達機構
  9.PKCの発見
10.細胞膜リン脂質の代謝と細胞内情報伝達機構
11.蛋白質リン酸化反応による多彩な細胞内情報伝達
12.オ―バービューとディスカッション
13.テスト
成績評価方法

出席,授業中の小テストの結果,および学期末の試験結果による.
その他

オフィスアワー: 随時;但し事前にメールでアポイントをとること.
http://www.biosig.kobe-u.ac.jp/biosignal/index.html 

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