特別講義（凝縮系動力学）

Advanced Topics (Dynamics in Condensed Phase)

担当教員 非常勤講師 林 重彦

目的・方針

溶液やタンパク質などの凝縮系における分子の相 互作用やダイナミクス、また凝縮系で起こる化学反応 の基礎理論を解説する。また凝縮系動力学研究の ための分子シミュレーションの手法も併せて概説する。

内容

1. 分子の電子状態と分子間相互作用
分子軌道法のおさらい
エネルギー分割法による分子間相互作用の解析
2. 分子凝縮系の性質
分子動力学シミュレーションと統計力学のおさらい
液体・タンパク質の構造
誘電体理論の基礎
3. 凝縮系分子ダイナミクスの基礎理論
確率過程理論の基礎
Gauss 過程
Brown 運動
Langevin 方程式
Fokker-Planck 方程式
4. 凝縮系反応ダイナミクスの基礎理論
線形応答揺らぎと Marcus 理論
調和型熱浴モデルと一般化 Langevin 方程式
Kramers と Grote-Hynes 理論
5. 凝縮系励起状態過程
電子移動反応と電子間相互作用
Fermi の Golden rule と Marcus 理論
揺らぎの量子効果とJortner の理論
スペクトル形状の揺らぎ運動による変化
6. タンパク質のダイナミクスと反応
光合成システムの電子・励起移動反応
プロトン移動反応
視覚の光反応ダイナミクス
タンパク質の遅い揺らぎと線形応答
Sumi-Marcus 理論

テキスト

教科書は特に指定しない. 配布する講義資料をもとにして講義を進める
参考書として
Physical Chemistry, 6th ed., P. Atkins, Freeman （邦訳） 物理化学 (上・下) 第6版 P. W. Atkins 著 千原秀昭・中村亘男訳, 東京化学同人
統計物理学 岩波講座 現代物理学の基礎 第二版 5 岩波書店 第五・六章

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