大気水圏科学特論
Sciences of Atmosphere and Hydrosphere
担当教員
教授 林祥介 教授 山中大学(連携講座) 准教授 岩山隆寛 准教授 荻野慎也 (連携講座)
目的・方針
大気大循環を流体力学的な観点から理解するために,素過程としての波動,対流,乱流,放射からそれらの相互作用,大気大循環におけるそれらの役割にいたるまでの大気力学の理論全般について解説をする.本年度は, 地球の中緯度の天候を支配している高低気圧の成因や構造に関する流体力学的理論を紹介する. さらに,アジア・太平洋・インド洋地域での大気中の水蒸気輸送過程や大気海洋相互作用の観測的研究・数値モデルを応用した研究の最前線やその基礎となる理論についても講ずる.
内容
1. 序論
2. 準地衡流渦位方程式系
2.1 基礎方程式系
2.2 無次元パラメター
2.3 無次元化された基礎方程式系
2.4 地衡流近似
2.5 安定性の概念
2.6 準地衡流髄方程式の導出
3. 順圧・傾圧不安定論
3.1 不安定問題の定式化
3.2 擾乱の構造:エネルギー論
3.3 不安定の必要条件
3.4 Charney-Sternの定理の考察
3.5 傾圧不安定の物理的機構
3.6 Eady問題
4.アジア・太平洋・インド洋地域での大気・海洋現象
履修要件
本講義は学部における「地球流体力学」ならびに「大気水圏科学」,あるいは 他大 学における気象学・海洋学の講義の続編として位置付けられるが,それらを履修していなくてもある程度の理解が得られるように,大気現象 (流体現象)を記述する方程式系や,基本的な概念をも随時解説する.
テキスト
1. 高藪出「温帯低気圧の力学」(気象研究ノート198号,日本気象学会)
2. J. Pedlosky「Geophysical Fluid Dynamics」(Springer-Verlag)
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