地球流体力学 ( 2単位)
Geophysical Fluid Dynamics
担当教員 配当年次 開講学期
准教授  岩山 隆寛 3 前期

授業のテーマと目標

大気と海洋は, 地球という回転系上で, 重力の効果によって軽い流体(気体と液体の総称)が重い流体の上に積み重なった「密度成層」状態にある. したがって多くの点で共通の動力学的特性を持っている. このことか ら, 大気・海洋といった特定の対象に限定せず,広く一般に回転系上の密度成層流体を扱う分野が「地球流体力学」である. 本講義では, 密度成層や回転の効果を考慮しない「流体力学」の基礎から解説をする. さらに地球の自転や密度成層の効果が, 流体の運動に与える影響についても触れる.
授業の内容と計画(予定)

1.序論
1.1. 連続体の概念
1.2. 流体粒子
1.3. 応力
1.4. 流体の定義
1.5. 圧力(気圧)傾度力
1.6. 流体の種類
2.流れの記述法
2.1.. 流れを表す物理量
2.2. 流れを表す方法
2.3. 保存則
2.4. 流線と流跡線
3.流体力学の基礎方程式
3.1. 連続の式
3.2. 運動方程式
3.3. エネルギー論
3.4. 熱力学的エネルギーの方程式
4. 状態方程式
4.1 状態方程式の例
4.2 順圧流体の状態方程式
4.3 温位
4.4 大気の鉛直構造
5.流体力学の基礎方程式(2)
5.1 Coriolisの力
5.2 回転座標系における運動方程式
5.3 球座標系
5.4 実行重力
5.5 球座標系での運動方程式
5.6 ベータ平面近似
6.運動方程式の簡単な応用
6.1 バランスした流れ:傾度風平衡
6.2 傾度風平衡の吟味
6.3 いくつかの特殊な場合
履修上の注意

先行科目: 地球惑星科学基礎I, 地球惑星科学基礎III, 地球惑星科学基礎I演習, 地球惑星科学基 礎III演習,大気水圏科学 .
本講義の受講には, 1,2 回生において物理学・数学を受講しておくことが望ましい. 必要な数学的知識については講義中にも解説をする予定であるが, 微・積分とベクト ル解析の知識はあらかじめ持っていることを想定して講義をする.
成績評価方法

学期末の試験, 授業に適宜出すレポートを総合判断する.
教科書

特に指定しないが, 下記の1-3の参考書をどれか1冊持っておくことを強く勧める.
授業中には,講義の内容の概略をプリントにして配る.またこのプリントは,下記 URL
から取得できるようにしてある.
参考書

1. 巽友正「連続体の力学」(岩波書店, 岩波基礎物理シリーズ2)
2. 巽友正「流体力学」(培風館, 新物理学シリーズ21)
3. 今井功「流体力学」(岩波書店, 岩波全書)
4. 小倉義光「気象力学通論」 (東京大学出版会)
5. 木村龍治「地球流体力学入門: 大気と海洋の流れのしくみ」(東京堂出版,気象学のプロムナード13)
その他

オフィスアワー: 平日14:00以降(自然科学研究科3号棟502号室).
iwayama@kobe-u.ac.jp 
http://www.ahs.scitec.kobe-u.ac.jp/~iwayama/teach/teach_07.html  

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