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労働安全衛生法/快適指針の読みどころと関連情報

  1. 参考ページ
  2. ハインリッヒの法則
  3. 労働安全衛生法(労安法)
  4. 快適職場づくり(快適職場指針,快適指針)
  5. 継続的かつ計画的な取り組み
  6. 労働災害(労災)とは,
この文書は, 神戸市立高等学校教職員組合(神戸市高) の学習会(2007/06/05)で使用した資料です.

参考ページ

この文書は以下のページを参考にしています.
  1. 安全衛生情報センター http://www.jaish.gr.jp/menu2.html
  2. 中央労働災害防止センター http://www.jisha.or.jp/
  3. 労務安全情報センター http://labor.tank.jp/
  4. 法令データ提供システム http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi
  5. 法庫 http://www.houko.com/index.shtml
  6. Wikipedia http://ja.wikipedia.org/

ハインリッヒの法則

(Wikipedia 参照)
  1. 労働災害(労災)における経験則の一つ.
  2. 1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり, その背景には300の異常が存在するというもの. (ハインリッヒの災害トライアングル, 傷害ピラミッド)
  3. ハインリッヒはこの法則から,
    1. 災害を防げば傷害はなくせる.
    2. 不安全行動と不安全状態をなくせば, 災害も傷害もなくせる.
    という教訓を導き出した.
  4. ハインリッヒは対策として, 職場の環境面の安全点検整備, 労働者の適正な採用, 研修, 監督などの必要と, それらの経営者責任に言及している.
  5. 1920年代のオートメーション生産ラインが導入されだして, アメリカの工業生産が好調な, しかし労働環境の問題が起きていた頃の調査をまとめ, その後の労働災害に関する考え方の元となった.
  6. 1931年に "Industrial Accident Prevention - A Scientific Approach" として初版が発行され, その後4回改訂された. 何度か和訳されている.(参照) 井上威恭監修『ハインリッヒ産業災害防止論』海文堂出版 1982年(昭和57年)

ハインリッヒの結論を再解釈してみよう.
  1. 災害規模の分布を見ると, 事故の規模にもフラクタル的なスケーリング法則 が成り立っているように見える.
  2. もしそうなら, 大きな災害をいくつかの小さな原因の複合/凝集として解釈できるかもしれない.
  3. その場合には, 複合/凝集の元となる小さな原因を排除することで, 大きな災害を減らすことができる.
  4. そのためには, 単体では重大とは見えないようなものも含めて, 不安全行動と不安全状態をなくすと良い.
  5. 事故が起こった後の場当たり的な処理ではなく, 予防的な対策を行うには, 継続的かつ計画的な取り組みが必要となる.
このような視点で, 労働安全衛生法(労安法), 労働安全衛生規則(安衛則), 快適職場指針(快適指針) を見ると良い.

労働安全衛生法(労安法)

  1. 職場の安全と衛生については, 労働基準法(昭和二十二年) の中では, 第五章 安全及び衛生(第四十二条) の項で, 労働安全衛生法 によって定めるとなっている.
  2. 実際の仕様等は 労働安全衛生規則 (安衛則, あんえいそく)で決められる.

第一条 (目的)

この法律は、 労働基準法 と相まつて、 労働災害の防止のための危害防止基準の確立, 責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに, 快適な職場環境の形成 を促進する ことを目的とする.

チェックするポイント:

  1. 労働災害の防止のための危害防止基準 (快適指針 , 労働安全衛生規則 など)
  2. 責任体制の明確化(労働安全委員会 など)
  3. 自主的活動の促進
  4. 総合的計画的な対策(PDCA サイクル など)
  5. 職場における労働者の安全と健康
  6. 快適な職場環境の形成(快適指針)

第七十一条の二 (事業者の講ずる措置)

事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、 次の措置を継続的かつ計画的に講ずることにより、 快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
  1. 作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
  2. 労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置
  3. 作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備
  4. 前三号に掲げるもののほか、快適な職場環境を形成するため必要な措置

ここから, "快適職場づくり" への継続的かつ計画的な取り組みが必要とされる.

快適職場づくり(快適職場指針,快適指針)

  1. 事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針(快適職場指針, 快適指針)
    (平成4年7月1日 労働省告示第59号. 改正 平成9年9月25日 労働省告示第104号)
  2. 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第71条の3第1項の規定に基づいて, 事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針を定めた.
  3. 疲労やストレスの少ない, 働きやすい職場づくりをめざす取組み. 具体的にはモラールの向上, 労働災害の防止, 健康障害の防止を目指す.

措置を講じるべきポイント

4つの視点から措置を講じることが望ましい.(労働安全衛生法第71条の2)
  1. 作業環境を快適な状態に維持管理するための措置: 不快と感じることがないよう, 空気の汚れ, 臭気, 温度, 湿度等の作業環境を適切に維持管理すること.
    1. 空気環境: 空気の汚れ、臭気、浮遊粉じん、タバコの煙
    2. 温熱条件: 温度、湿度、感覚温度、冷暖房条件(外気温との差、仕事にあった温度、室内の温度差、気流の状態)
    3. 視環境: 明るさ、採光方法、照明方法、(直接照明、間接照明、全体照明、局所照明)、グレア、ちらつき、色彩
    4. 音環境: 騒音レベルの高い音、音色の不快な音
    5. 作業空間等: 部屋の広さ、動き回る空間(通路等)、レイアウト、整理・整頓
  2. 作業方法の改善: 心身の負担を軽減するため、相当の筋力を必要とする作業等について、作業方法を改善すること。
    1. 不良姿勢作業: 腰部、頚部に大きな負担がかかる等の不自然な姿勢
    2. 重筋作業: 荷物の持ち運び等をいつも行う作業等、相当の筋力を要する作業
    3. 高温作業等: 高温・多湿や騒音等にさらされる作業
    4. 緊張作業等: 高い緊張状態の持続が要求される作業や一定の姿勢の持続が求められる作業
    5. 機械操作等: 操作がしにくい機械設備等の操作
  3. 疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備: 疲労やストレスを効果的に癒すことのできる休憩室等を設置・整備すること。
    1. 休憩室(リフレッシュルーム等): 疲労やストレスを癒す施設
    2. シャワー室等の洗身施設: 多量の発汗や身体の汚れを洗う施設
    3. 相談室等: 疲労やストレスについて相談できる施設
    4. 環境整備: 運動施設、緑地等
  4. 快適な職場環境を形成するため必要な措置: 洗面所、トイレ等職場生活で必要となる施設等を清潔で使いやすい状態にしておくこと。
    1. 洗面所・更衣室等: 洗面所、更衣室等就業に際し必要となる設備
    2. 食堂等: 食事をすることのできるスペース
    3. 給湯設備・談話室等: 給湯設備や談話室等の確保

快適な職場環境づくりを進めるに当たって考慮すべき事項

実施に関し、考慮すべき事項
  1. 継続的かつ計画的な取り組み
  2. 労働者の意見の反映
  3. 個人差への配慮
  4. 潤いへの配慮

継続的かつ計画的な取り組み

継続的かつ計画的に職場環境の形成に取り組むために(安全衛生情報センター)

  1. 快適職場推進担当者の選任等、体制の整備をすること。
  2. 快適な職場環境の形成を図るための機械設備等の性能や機能の確保についてのマニュアルを整備すること。
  3. 作業内容の変更、年齢構成の変化、技術の進展等に対応した見直しを実施すること。
  4. 問題点を確認して快適化への取り組みを計画的/継続的に行う.
    1. 労働安全衛生マネジメントシステムの基本的な考え方に沿って, PDCA サイクルを実施する.
    2. PDCA サイクルとは :
      P(Plan 計画), D(Do 実施), C(Check 評価), A(act 改善)
      の過程を繰り返すことで継続的に改善する手順.
  5. 評価(Check)の方法:
    1. 職場環境評価(ハード面): 快適職場指針項目
      快適な職場環境を作るために、職場の現状の把握から改善を段階的に評価する.
    2. さわやか調査(ソフト面): 職場の人間関係
      職場の人間関係や仕事のやりがいなど, 働きやすい職場にする.

労働災害(労災)とは,

労働災害(Wikipedia)
  1. 業務上の事由(業務災害)又は通勤途上(通勤災害)で, 負傷, 疾病, 障害, 死亡する災害.
    労災の形態によっては, 管理者に業務上過失致傷罪および致死罪が発生する.
  2. 労働者災害補償法で労働者災害補償保険が適用される.
    労働災害をカバーする労働者災害補償保険は, 労働者の資格如何に関わらず, 全ての労働者(アルバイト,パートを含む)に適用される.
  3. ただし, 例外として公務員, 船員には適用されない.
    公務員の労働災害(公務災害)については, 国家公務員は国家公務員災害補償法により,
    地方公務員は地方公務員災害補償法第3条の規定により設けられた各都道府県の地方公務員災害補償基金により各種給付が行われる.

業務災害とは,

通勤災害とは,


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