第1回(2002年度)解析学賞

受賞者

業績題目

野口潤次郎(東京大学大学院数理科学研究科)

多変数値分布論と複素解析幾何学の研究

舟木直久(東京大学大学院数理科学研究科)

界面の統計力学と確率解析

柳田英二(東北大学大学院理学研究科)

非線形拡散方程式に関する研究

【選考委員会構成】
赤平昌文,新井仁之,井川満(委員長),小谷真一,野村隆昭,藤本坦孝,向井茂(理事会推薦),谷島賢二


受賞者

野口潤次郎(東京大学大学院数理科学研究科)

業績題目

多変数値分布論と複素解析幾何学の研究

受賞理由

野口潤次郎氏は,多変数複素関数論を中心として複素幾何学,代数幾何学,Diophantus 理論にまたがる分野を研究対象とし,成果をあげてきた.特に,高次元 Nevanlinna 理論を独自の手法によって改良し,その応用として,多様体間の有理型写像の値分布理論の構築,高次元小林双曲的多様体の構成,Serge Lang によって提唱された2つの予想の解決,関数体上の Diophantus 幾何の研究,有理点集合の考察等に卓越した成果をあげており,今後の発展が期待されている.
また,同氏は1995年の第3回 MSJ 幾何学的複素解析国際会議,2001年の岡潔生誕百年記念多変数複素解析国際会議の組織委員長を務め,また毎年冬に開催される多変数関数論葉山国際会議の提唱者であり,この葉山国際会議の世界的名声を高めてきた.このように,この分野に於いて常に指導的役割を果たしてきている.選考委員会は,これらの功績をふまえて,同氏が解析学賞に相応しいものと結論した.