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肥満を計る指数の意味を知りたい: BMI, カウプ指数, ローレル指数 , 肥満度 の解説
BMI(体格指数) , ローレル指数 , 肥満度 は 肥満の程度を評価するための指数です.
- BMI(体格指数)とは?
- カウプ指数(Kaup index)とは?
- ローレル指数とは?
- 肥満度とは?
- アロメトリー法則 と BMI・ローレル指数
- エネルギー消費とアロメトリー法則から見た BMI
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- BMI, カウプ指数, ローレル指数 , 肥満度 の解説(このページ)
身長と体重から手軽に計算できる BMI , ローレル指数, 肥満度 ですが,
身長と体重しか利用していないことから分かるように, 見掛けから求める指数です.
数式や評価基準は疫学的な調査から出た近似ですから, 個人への適用には注意する必要があります.
例えば, 性差, 筋肉質か脂肪太りかなどの個人毎の特性は考慮に入れていません.
また, 平均的な身長よりも極端に高い, または, 極端に低い場合には評価の誤差も増えて来ます.
また, 幼児期, 学童期や成長期ではこれらの指数は適切ではなくなります.
成長段階に応じた基準値の修正を行うと良いようですが,
個人差が大きいため適用が難しいので詳細は省略します.
体脂肪率を計測できる機器が安価で出回っているので,
健康のための指標としては, そちらを使う方が良いように思えます.
BMI( Body Mass Index, 体格指数, Kaup 指数 ) は大人向けの肥満度を評価するための指数です.
22 が成人の標準です.
この 22 という数値は疫学調査で最も健康上の問題が少い指数として選定されています.
この上下 15% 程度が標準の範囲となります.
19 を標準とする案もあります.
19で最も死亡率が低いという研究結果もでているようです
計算方法: BMI = 体重[kg]÷身長[m]^2
例: 体重 60kg, 伸長175cm のとき
BMI = 60 ÷ 1.75 ÷ 1.75 = 19.6
カウプ指数(Kaup 指数 ) は 幼児の肥満度を評価するための指数として用いられています.
BMI として紹介されているものとの違いは,
肥満の判断基準となる値が成長段階に応じて調整されている点にあります.
一応の目安としては, 標準体重の範囲を以下のようにすると良いようです.
- 乳児(3ヵ月以後):16〜18.
- 幼児満1歳: 15.5〜17.5.
- 満1歳〜満2歳: 15〜17.
- 満3〜5歳: 14.5〜16.5.
- 学童期: 18〜22
カウプ指数は以下のように計算されます.
カウプ指数 = 10*体重[g]/身長[cm]^2
= 10*(体重[kg]*1000)/(身長[m]*100)^2 = 体重[kg]/身長[m]^2 = BMI
式を変形することで, カウプ指数と BMI が同じものであることがわかります.
つまり, 見掛けの計算は多少異なって見えますが, 実は同じものなのです.
ローレル指数(Rohrer index)は学童期の肥満度を評価するばあいに適します.
130 が標準です.
この上下 15% 程度が標準の範囲となりますが,
学童期の場合, 成長の過程の個人差も考慮する必要があります.
ローレル指数 = 体重[kg]÷身長[m]^3×10 = 体重[kg]÷身長[cm]^3×10^7
以下のようにして 標準体重と肥満度を計算します.
- 標準体重 [kg] = (身長[cm] - 100)× 0.9
- 肥満度 [%] = (実体重−標準体重)÷ 標準体重 ×100
これは 標準体重からのずれを百分率で表したものです.
0 が標準です. -10% 〜 +15% が標準の範囲です.
肥満度で用いている 標準体重 [kg] = (身長[cm] - 100)× 0.9 という数式は
BMI などの数式の一次近似と云われる近似式と考えることができますから
(係数などの適正さの問題はあるが...)
身長の適用範囲が狭くて良いなら実用性はあると思われます.
計算が簡単ですが, 身長の違いによる体型の修正を考慮に入れていないので,
170cm 程度よりも 身長が高い 又は 低い場合には "標準体重" が不適切な値になってしまいます.
そのため BMI や ローレル指数 が多く使われます.
肥満度の概念よりも, 標準体重の定義に問題があるので,
これを BMI や ローレル指数 を元にしたものに入れ換えると,
十分に実用になります.
サイズ(身長,体長) の変化に応じて他の指標が変化するようなスケーリングに関する法則をアロメトリー法則といいます.
ここでは, BMI や ローレル指数の発想の元となった,
身長の変化に対する体重の変化の考え方を,
理論式とこのページでの計算結果を併用しながら簡単に紹介します.
仮に 身長 160[cm], 体重 55.0[kg] とすると BMI=21.5, ローレル指数=134.3, 肥満度 1.85 % です.
どの指数でみてもほぼ標準的と思われます.
次に, 身長 176[cm] の人が居たとします.
176/160=1.1 なので身長は 10% 高くなっています.
この二人が同じ程度の体格とすると 176 [cm] の人の体重は何 [kg] になるでしょうか.
これについて, BMI と ローレル指数の考え方の違いを見てみましょう.
身長 160[cm] と 176[cm] の場合の比較:
- 160[cm], 55.0[kg], BMI 21.5, ローレル指数 134.3, 肥満度 1.85
- 176[cm], 66.6[kg], BMI 21.5, ローレル指数 122.1, 肥満度 -2.70 (BMI が同じ場合)
- 176[cm], 73.2[kg], BMI 23.7, ローレル指数 134.3, 肥満度 7.12 (ローレル指数が同じ場合)
- 176[cm], 69.7[kg], BMI 22.5, ローレル指数 127.8, 肥満度 1.85 (肥満度 が同じ場合)
身長が異なる場合の肥満の程度の比較に,
どの指数を参考にするかで差がでることがわかります.
相似な立体については, 体積は大きさの3乗に比例します.
これは, 同じプロポーションならば, 体重が身長の3乗に比例することを意味します.
この,幾何学的な発想で作られたのが ローレル指数 です.
身長の比が 1.1 なら, 1.1^3 = 1.1×1.1×1.1 = 1.331 なので,
おなじ ローレル指数では, 体重は 1.331 倍の 73.21[kg] となります.
ウエストなどの長さの数値も身長に対応して 1.1 倍されます.
(このとき BMI は 1.1 倍の 23.7 となっています.)
幾何的な意味での相似形ならば, 表面積は大きさ(体長)の2乗に比例します.
筋肉・内蔵などからの熱の発生が表面からの熱の発散に対応すると考えると,
体重もほぼ大きさ(体長)の2乗に比例することになります.
簡略化しすぎで多少の嘘がありますが,
このようなものに対応するのが BMI です.
詳細は次節で説明します.
身長の比が 1.1 なら, 1.1^2 = 1.1×1.1 = 1.21 なので,
おなじ BMI では, 体重は 1.21 倍の 66.55[kg] となります.
このとき, ウエストなどの横幅に対応する長さの数値は (1.1の平方根) = 1.05 倍 となっているはずです.
つまり, 身長が 10%増えているのに, 横幅は 5%しか増えていないわけです.
同じ BMI なら, 背の高い人の方がすこし痩せている印象になります.
通常のイメージで "背が高い" と "スマート" というのが関連しているようですが,
このへんが理由ではないかと思います.
大型の哺乳類の場合, 身体の大きさと棲息環境の気候風土の関係が調べられており,
例えば, 「ベルグマンの法則」 と呼ばれるものなどが知られています.
これは, 同じ分類群に属するもの同士で比較すると,
寒い地方に棲むものほど体が大きく,
暑い地方に棲むものほど体が小さい傾向があるという法則です.
体が大きいほど寒い場合の体熱が奪われる危険に耐えることができ,
逆に, 体が小さいほど暑い場合の体温の発散に有利と考えることができます.
もう少し詳しく, BMI とエネルギー消費との関連を見てみましょう.
単細胞生物, 変温動物, 恒温動物などの幅広い動物で,
エネルギー消費は体重の 3/4 乗に比例することが実験的に知られています.
これが体熱の発生に対応することから,
体温を一定に保つには, エネルギー消費と体表面積が比例すると考えられます.
体重は 体長×体幅^2 に比例し, 表面積は 体長×体幅 に比例すると考えると,
(体長×体幅^2)^(3/4) が 体長×体幅 に比例することになります.
(体重)^(3/4) ∝ 表面積
(体長×体幅^2)^(3/4) ∝ 体長×体幅
体長^(3/4) × 体幅^(3/2) ∝ 体長×体幅
体幅^(1/2) ∝ 体長^(1/4)
体幅 ∝ 体長^(1/2)
これから, 体幅が体長の平方根に比例することが分かります.
また, 体重は 体長×幅^2 に比例しましたから,
体重 ∝ 体長×体幅^2
体重 ∝ 体長×(体長^(1/2))^2 ∝ 体長×体長 ∝ 体長^2
よって, 体重 ∝ 体長^2
比例定数 BMI = 体重/体長^2
ですから, 体重が体長の2乗に比例し, その比例定数は 体重/体長^2 で求まることになります.
この比例定数(アロメトリー係数)を BMI と云っていることになります.
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