齋藤 政彦
神戸大学理学部数学科
構造数理講座 教授
代数幾何学教育研究分野
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研究テーマ:

代数多様体の変形 およびモジュライ理論、周期写像、アーベル多様体、カラビ--ヤウ多様体と ミラー対称性


何を研究してきたか:

私は現在まで代数幾何学 を専攻して来ました。特に代数多様体の上の微分形式を積分して 得られる周期の研究がテーマの中心です。 代数方程式系の解集合として定義される 代数多様体は、古典的な数学において円錐曲線論や代数方程式論の関連で研究されて きましたが、今世紀の多様体論の発展の中でも豊富で重要な多様体の例を供給し 続けています。

現在では層とそのコホモロジー理論より代数多様体の不変量を定義することができ, 代数多様体全体をある種の不変量によって分類しようという試みがあります。

また、不変量を固定した時、その代数多様体の同型類全体が再び代数多様体になり、モジュライ空間と呼ばれますが、このモジュライ空間の詳しい記述が元の多様体の幾何に深く関係し豊かな構造を持っています。

現在の研究の中心テーマ−はミラー対称性や、可積分系と代数幾何学の関係についてです。


現在まで何が分かったか:

  1. K3曲面およびアーベル多様体の族の変型可能性:

    関数体上のアラケロフ型定理は、底空間と特異ファイバーの位置を固定したとき種数2以上の曲線の族は有限個しかないことを示すものであるが、この定理をK3曲面およびアーベル多様体の族に拡張したファルテングスの定理(1983年)がある。しかし、一般には変型を許す族があることおよびそのような変型の次元があまり高くないことを示す理論(伊原、久我、砂田、野口潤次郎の結果等)があったが事情は良く分からなかった。 私は、1987年当時マックスプランク研究所(当時西ドイツ、ボン)に滞在していたが、ザッカー氏との共同で上記多様体の族に附随するコホモロジー群の局所定数層の自己準同型環のホッジ分解に注目し、ある種の多元環の理論を援用して、変型を許す族について完全な分類を与えた。ここで、佐武一郎氏の理論との深い関係が明らかになった。この結果より上記のファルテングスの定理の精密化を得た。(1987年--1993年) 論文 5, 論文 6

  2. 種数の高い曲線の族に附随するヤコビ多様体の族のモーデル=ベイユ格子の決定:

    塩田氏は、楕円曲面を楕円曲線の族と見たときにそのモーデル=ベイユ群上のネロン=テイト=マニンの意味の二次形式が、曲面全体のネロン=セベリ群の交点形式で計算できる事を示し、さまざまな美しい応用を見い出した。この結果は種数2以上の曲線の族に附随するヤコビ多様体にも拡張された。私は、当時修士の学生であった榊原氏と共に、有理曲面上の種数2以上の族のモーデル=ベイユ群を調べ、その階数が4g+4以下であることをしめした。またこ上限を与える様な曲線族が実際存在しその時の格子の構造も決定した。 また一般の曲面についてもその数値的不変量で上限を与える事に成功した。(1993-- ) 論文 8

  3. アーベル多様体の族をもつカラビ=ヤウ多様体のA−モデルプレポテンシャルの決定:

    上記の研究の結果、有理曲面上の種数2の曲線族を調べるとそれに附随するヤコビ多様体の族の適等なコンパクト化がカラビ=ヤウ多様体になるものが存在した。おりしも、超弦理論の世界からカラビ=ヤウ多様体のミラー対称性が話題になっていた。位相的σモデルから得られるグロモフ=ウィッテン不変量はカラビ=ヤウ多様体内の有理曲線の数の数えあげに関係し、それらはA-モデルの3点関数=湯川カップリングを与える。そのプレポテンシャルは一般に計算が難しいが、上記の例についてモーデルベイユ群のネロン=テイト=マニンの二次形式を用いればその内の一部(切断からくる有理曲線の分)を計算出来る事がわかった。そしてそのプレポテンシャルを二次形式に附随するテーター関数を用いて具体的に書き上げた。(1996-- ) 論文 11

  4. シエーンのカラビ=ヤウ多様体に関するミラー対称性の検証:

    ステンストラと細野との共同研究によりA-モデルおよびB-モデルの両方のプレポテンシャルが計算出来る例として、二つの異なる有理楕円曲面のファイバー積より得られるカラビ=ヤウ多様体(いわゆるシエーンのカラビ=ヤウ多様体)を扱った。この例については上記のモーデル=ベイユ格子の理論と具体的な幾何からA-モデルのプレポテンシャルの1切断部分がE_8のテータ関数をデデキントのエータ関数の12乗で割ったもので得られる事を示した。一方、この例はトーリック多様体の完全交叉多様体として実現出来るのでバチレフ=ボリソフの方法により、ミラー対の決定が出来さらに細野、クレム、タイセン、ヤウとステンストラによるB-モデルのプレポテンシャルの計算が可能である。適等なパラメータの同一視の後、両方のプレポテンシャルの展開が100次以上まで一致している事を示したが、後にB-モデルのプレポテンシャルもA-モデルのそれと同様、保型形式であることがザギエーによって示されミラー対称性の数学的な検証がなされた。(1996-- ) 論文 10, 論文 11

  5. 有理楕円曲面の中の種数の高い曲線の数え上げ:

    上記の仕事の後、有理楕円曲面内の曲線の数え上げについて物理学者のミナハン、ネメシャンスキー、バッファ、ワーナーのグループがヤン=ミルズ理論における正則異常方程式を提出し、種数0だが2—切断以上の場合のプレポテンシャルの計算を予想した。これは、フーリエ=向井変換でベクトル束のモジュライ空間の位相的オイラー数の生成関数と一致するが吉岡は2-切断の時に対応する計算を数学的に厳密に正当化した。それ以後、細野、高橋と共同で高い種数についての数え上げと同等であるBPS状態のプレポテンシャルの計算を実験的に行い、上記正則異常方程式の一般化を定式化し種数0と種数1の場合のB-モデルでの計算と両立することを確かめた。また、バッファとゴッパクッマーの相対レフシェッツ分解の理論を種数一般の1切断の生成関数に適用し、楕円曲面の点のヒルベルト概形のコホモロジー環の分解と準保型形式の無限列の関係を実験的に見い出した。(1998-- ) 論文 12


今後何をやろうとしているのか:

  1. ミラー対称性の数学的な理解:

    上記ミラー対称性に自分自身が納得する数学的な理解を与えたい。合わせて超弦理論等の物理学を取り込んだ21世紀の幾何学の枠組みを探りたい。

  2. パンルベ方程式の高次元化:

    パンルベ方程式系の高次元化は、現在の神戸大学の超幾何系のグループにおいても中心的なテーマであり、野海=山田の壮大な理論も生まれています。この高次元化において代数幾何の果たす役割は大きいと確信しており、その方向の研究を現在準備中です。

  3. 数学と数学の応用、そしてその未来:

    現在「純粋数学は、直接は人間の生活に役立たない」といった命題を無批判に(なんとなく)多くの人が受け入れている状況があるように見受けられます。さらに、憂慮すべ事は「一部の文化人や、理学、工学、人文科学における研究者」の間にもその様な命題が受け入れられつつあるということです。これは、一方的な誤解という面もあるかもしれませんが「数学者が自分の専門分野の狭い土俵でしか物を考えて来なかった事」にも原因があると考えます。この意味で「現在まで蓄積された数学の研究が、他分野にどのような応用が可能なのか」、また「21世紀の数学は他分野とどのように交流を計っていくべきか」を研究したいと思っています。「また数学を文化として我々の社会の中にどのように根づかせるべきか」という事も考えていきたいと思います。

主な研究業績

  1. Saito, Masa-Hiko, On the infinitesimal Torelli problem of elliptic surfaces. J. Math. Kyoto Univ. 23、(1983), no. 3, 441--460.
  2. Saito, Masa-Hiko, Jacobian rings of hypersurfaces of compact irreducible Hermitian symmetric spaces and generic Torelli theorem. Proc. Japan Acad. Ser. A Math. Sci. 61 (1985), no. 10, 321--324
  3. Saito Masa-Hiko; Shimizu Yuji; Usui Sampei, Supplement to "Variation of Mixed Hodge structure arising from family of logarithmic deformations II", Classifying space, Duke Math. \ J. , {\bf 52 No. 2}(1985), 529--534.
  4. Saito, Masa-Hiko, Weak global Torelli theorem for certain weighted projective hypersurfaces. Duke Math. J. 53 (1986), no. 1, 67--111.
  5. Saito, Masa-Hiko; Shimizu, Yuji; Usui, Sampei Variation of mixed Hodge structure and the Torelli problem. Algebraic geometry, Sendai, 1985, 649--693, Adv. Stud. Pure Math., 10, North-Holland, Amsterdam-New York, 1987.
  6. Morrison, David R.; Saito, Masa-Hiko, Cremona transformations and degrees of period maps for $K3$ surfaces with ordinary double points. Algebraic geometry, Sendai, 1985, 477--513, Adv. Stud. Pure Math., 10, North-Holland, Amsterdam-New York, 1987.
  7. Saito, Masa-Hiko, Generic Torelli theorem for hypersurfaces in compact irreducible Hermitian symmetric spaces. Algebraic geometry and commutative algebra, Vol. II, 615--664, Kinokuniya, Tokyo, 1988.
  8. Saito, Masa-Hiko; Zucker, Steven, Classification of nonrigid families of $K3$ surfaces and a finiteness theorem of Arakelov type. Math. Ann. 289 (1991), no. 1, 1--31.
  9. Saito, Masa-Hiko; Zucker, Steven, On the Torelli problem for fiber spaces, Proc. \ Symp. \ Pure Math. , {\bf 53}(1991), 269-282.
  10. Saito, Masa-Hiko, Classification of nonrigid families of abelian varieties. Tohoku Math. J. (2) 45 (1993), no. 2, 159--189.
  11. Saito, Masa-Hiko, Finiteness of Mordell-Weil groups of Kuga fiber spaces of abelian varieties. Publ. Res. Inst. Math. Sci. 29 (1993), no. 1, 29--62.
  12. Saito, Masa-Hiko; Sakakibara, Ken-Ichi, On Mordell-Weil lattices of higher genus fibrations on rational surfaces. J. Math. Kyoto Univ. 34 (1994), no. 4, 859--871.
  13. Saito, Masa-Hiko; On upperbounds of Mordell-Weil ranks of higher genus fibrations. Algebraic cycles and related topics (Kitasakado, 1994), 37--42, World Sci. Publishing, River Edge, NJ, 1995.
  14. Ogata, Shoetsu; Saito, Masa-Hiko, Signature defects and eta functions of degenerations of abelian varieties. Japan. J. Math. (N.S.) 23 (1997), no. 2, 319--364.
  15. Hosono, Shinobu; Saito, Masa-Hiko; Stienstra, Jan, On the mirror symmetry conjecture for Schoen's Calabi-Yau $3$-folds. Integrable systems and algebraic geometry (Kobe/Kyoto, 1997), 194--235, World Sci. Publishing, River Edge, NJ, 1998.
  16. Saito Masa-Hiko, Prepotentials of Yukawa Couplings of Certain Calabi-Yau 3-folds and Mirror Symmetry (the Proceedings of 1998 NATO-ASI/CRM Summer School on the Arithmetic and Geometry of Algebraic Cycles. Banff. 385--425.
  17. Hosono, Shinobu, Saito Masa-Hiko, and Takahashi Atsushi, Holomorphic Anomaly Equation and BPS counting of Rational Elliptic Surfaces, (Adv. Theor. Math. Phys. 3, (1999), 177--208)
  18. Nguen K.V, Saito M.-H., On Mordell-Weil lattices of nonhyperelliptic type. (Russian) Dokl. Akad. Nauk, 364 (1999), no. 5, 596--598.
  19. Masa-Hiko Saito, Hiroshi Umemura: Painlev\'e equations and deformations of rational surfaces with rational double points, Proceedings of the Nagoya Int. Workshop, {\it Physics and combinatorics} Nagoya University, 1999, World Scientific, Kirillov, A. et al (eds.). 320--365., math.AG/0007156 ps.file/ dvi.file :
  20. Masa-Hiko Saito and Noiko Yui:The Modularity conjecture for rigid Calabi-Yau threefolds over Q, J. of Math. Kyoto Univ. 41-2 (2001), 403--419. math.AG/0009041, ps.file/ dvi.file :
  21. Shinobu Hosono, Masa-Hiko Saito, and Atsushi Takahashi: Relative Lefschetz action and BPS state counting, Internat. Math. Res. Notices, (2001), No. 15, 783-816. math.AG/0105148, ps.file/ dvi.file :
  22. Nguen K.V, Saito M.-H., On Mordell-Weil lattices for nonhyperelliptic fibrations of surfaces with zero geometric genus and irregularity. (Russian. Russian summary)Izv. Ross. Akad. Nauk Ser. Mat. 66 (2002), no. 4, 137--154; translation in Izv. Math. 66 (2002), no. 4, 789--805
  23. Masa-Hiko Saito, Taro Takebe and Hitomi Terajima: Deformation of Okamoto--Painlev\'e Pairs and Painlev\'e equations, J. Algebraic Geom. 11 (2002), 311-362. math.AG 0006026 ps.file/ dvi.file :
  24. Masa-Hiko Saito and Taro Takebe: Classification of Okamoto--Painlev\'e Pairs, Kobe J. Math. 19, (2002), 21--50. ps.file/ dvi.file :
  25. Michi-aki Inaba, Katsunori Iwasaki and Masa-Hiko Saito: B\"acklund Transformations of the Sixth Painlev\'e Equation in Terms of Riemann-Hilbert Correspondence, Internat. Math. Res. Notices, 2004, no. 1, 1--30, ps.file/ dvi.file :
  26. Masa-Hiko Saito and Hitomi Terajima : Nodal curves and Riccati solutions of Painleve equations, J. Math. Kyoto Univ., 44(2004), no.3, 529--568.
  27. Michi-aki Inaba, Katsunori Iwasaki and Masa-Hiko Saito:Dynamics of the Sixth Painlev\'e Equation, preprint,(2004, August), submitted to the Proceedings of Conference in Angers, 2004, "Seminaires et Congre" of the Societe Mathematique de France (SMF).64 pages,
  28. Michi-aki Inaba, Katsunori Iwasaki and Masa-Hiko Saito: Moduli of Stable Parabolic Connections, Riemann-Hilbert correspondence and Geometry of Painlev\'{e} equations of type VI, Part I, to appear in Publ. Res. Inst. Math. Sci.pdf.file
  29. Michi-aki Inaba, Katsunori Iwasaki and Masa-Hiko Saito: Moduli of Stable Parabolic Connections, Riemann-Hilbert correspondence and Geometry of Painlev\'{e} equations of type VI, Part II, to appear in Advanced Studies in Pure Mathematics 42, 2006, Moduli Spaces and Arithmetic Geometry (Kyoto, 2004),

代数幾何学の簡単な歴史: (アポロニウスからグロタンデックまで)

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代数幾何学は、古くて新しい学問であります。この意味は長い歴史を持つにも関わらず、常に数学の他の分野の方法、技術を取り入れ、また物理学や、天文学、宇宙論と深い関係を持ちながらたびたび生まれ変わってきました。

アポロニウスの円錐曲線論(BC262南イタリア生まれ)以後、代数と幾何学は密接な関係を持ちませんでしたが、デカルトが座標幾何(1637年頃)を導入して以来、幾何学的な事実を座標と記号を使って表現する方法が確立し、図形の性質と、代数的な性質の厳密な意味での相互関係が明らかにされる様になると数学は大きく進展し、ニュートン(1642--1727)、ガウス(1777--1855),リーマン(1826--1866)らによってなされた、微分積分、力学、数論、微分幾何、複素関数論等の発達の基礎となりました。ガウス、アーベル(1802--1829)、ヤコビ(1804--1851)による楕円関数の研究を基礎としてワイエルストラス(1815--1897)やリーマンにより一変数代数関数論が展開されましたが、そこで表れたヤコビ多様体やリーマンーーロッホの定理、リーマン面のモジュラス問題等はその後の代数幾何学の発展に決定的な影響を与えました。 その後マックス ネーター(1844--1921) が平面代数曲線の双有理変換の理論やリーマンロッホの定理の幾何学的証明を行いました。

1890年台になって、イタリア学派が2変数の代数関数体の理論である代数曲面の代数幾何的な研究を始めました。彼等の方法は厳密とは言い難かったのですが多くの興味ある事実の発見を行いました。

一方ドイツでは、マックスネーターの娘、エミー ネーター(1882--1935)が抽象的な代数学特に可換環のイデアル理論を展開しました。この影響を受けたファンデルベルデンは抽象的イデアル論を応用した代数幾何学の基礎付けを行いました。この方向では、シェバレーとヴェイユが抽象的な体の上での代数幾何の基礎付けを行いました。特に、交点理論における重複度の概念を整備し合同ゼータ関数に関するリーマン予想の類似を定式化し、曲線とアーベル多様体の場合に証明する事に成功しました。また、シェバレーの仕事を発展させて、サミュエル(1920--)、永田雅宜(1927--)、セール(1926--)は局所環のイデアル論を用いた重複度の概念を完成させました。

ザリスキー(1899--1986)はクルルの一般付値論により双有理変換の理論を厳密化し基礎付けをしました。任意の既約な代数多様体は射影空間内の特異点を持たない代数多様体に双有理的に写されるという「特異点解消の問題」は、リーマン以来の難問でザリスキーによって3次元まで解かれたが、標数0の場合は広中平祐によって完全に解かれました(1964)。

一方、1950年代前半に、プリンストンの高等研究所に滞在した小平邦彦(1915--199 )はスペンサー(1912-- )と共にカルタンセミナーの「層の理論」を取り入れ、複素解析多様体の理論を構築していました。

ド=ラームの位相的ホモロジーと微分形式のコホモロジー理論の双対性やホッジの調和積分論の理論が発展していましたが、彼等はそれを用い、複素多様体の変型理論や、複素射影代数多様体とホッジ多様体の同値性、小平の消滅定理、代数曲面論の厳密化を行いました。 さて、セールは「層の理論」を代数幾何に導入する事の重要性を示す論文を書き、色々な幾何学的不変量が層のコホモロジーの不変量であることをしめしました。この方向をさらに押し進めた、グロタンデックは、代数多様体の概念をさらに一般化したスキームの概念を導入しました。スキームは空間の座標の環として一般にべき零元を許したものであり、べき零元の存在により解析学の逐次近似の方法の導入を可能にし、ザリスキーの主定理等の結果を含む膨大な結果を得ました。さらに、層の言葉と位相幾何学の結果をもちいて、複素多様体上のリーマン=ロッホ型定理が定式化され、ヒルツブルフにより証明されましたが、グロタンデックは抽象的な体上の代数多様体についても証明しました。グロタンデックは圏や関手の概念を導入する事により、代数多様体のモジュライの理論が定式化しました。

これ以後の発展(1960年代以降)も大変なものがありますが、またの機会としたいと思います。